塵芥の終着点

いろいろ考え中です

リアリティとフィクションの狭間で(1)~NEW GAME! 8話のねねっちの話~

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桜ねね。NEW GAME!の登場人物であり、主人公涼風青葉の親友である。NEW GAME! 8話に登場する彼女の姿を見ていて、ある違和感を覚え、以前から考えていたある理屈と結びついた。ので、ちょっと書いてみたいと思う。始めに断っておくと、私は原作単行本の既刊は所持しており、全て読み終えている。原作では感じなかったのにアニメでは感じたことについて触れたいと思う。

 

ねねっちの行動に対する違和感 

 

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冒頭のこのシーン、といえば視聴した人はもう分かってくれたと思う。ねねっちは、大学での期末試験を全て終え、その嬉しさの余り講義室内であるにも関わらず「夏休みだー!」と大声で叫んだのである。当然、特に親しい友人に話しかけたわけでもなく独りでそのような行為をしたら、室内にいる学生の大半から注目を浴びてしまう。

ねねっちはこの行為を皮切りに、8話内で様々なわんぱくをしでかす。バイトに初日から遅刻、会社内を勝手にうろつく、冷蔵庫の中にある誰のかも知らないプリンを勝手に食べる、など割と問題行動を連発する。が、そこはフィクション。作り話。アニメだと思って見ている視聴者にとっては「元気だなぁwww」とか「かわいいwww」とかその程度の印象に留まるはずである。

ところが、この回を見た視聴者の中には「ねねっちこれアカンやろ」とか「見ていてイライラする」といった感想を持った人が一定数いた(信用ならないソース)。そして自分もまたねねっちの問題行動が気になってアニメを純粋に楽しめなかった一人なのである。

 

何故ねねっちはアカンかったのか

単行本では2巻に収録されている回であるため、ずいぶん前の話ではあるのだが、私が原作を読んだときにはこのような違和感は特に無く、むしろ前述した「元気だなぁwww」とか「かわいいwww」とか、そっちの印象を抱いた記憶がある。先程の「夏休みだー!」のシーンは原作だとこうなっている。

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両者を比較すると明らかになる点とは、「原作には背景が無い」ということである。背景とは、講義室も指すし、講義室内にいる他の学生のことも指す。

そう、4コマ漫画は、小さいコマにセリフと絵を収めるため、普通のコマ割りの漫画とは異なる技術が用いられている。そのため4コマの多くは、人物に焦点を当てることを目的とし、背景を簡略化している。そしてそのことこそが今回感じた違和感の原因であると私は考えた。

 

背景はリアリティを演出するに欠かせないもの

ある漫画家兼スタンド使いも言っていたように、リアリティは作品づくりに欠かせない。面白いと思わせることとは、すなわち共感させることであり(もちろんそうでない場合の面白さも存在するが)、人間の想像力をより豊かにするためには、その人の脳に訴えかけるような共感が必要なのだ。そして何より余りに現実味に欠いた描写というのは、萎える。そこに生きているように感じられなくなる。

NEW GAME!の作品としての魅力は、そのリアリティとそうでない部分のちょうどいい塩梅であると私は思う。登場人物が全員女性であり、主人公が高卒で入社するという比較的ぶっ飛んだ設定の中に、ゲーム制作の過酷さや人間関係の妙をリアルに描く部分があり、多面的な楽しみ方ができる作品であると考える。ところが前述したシーンではその食い違いが発生してしまったように感じたのだ。

おてんばな性格であるねねっちは、言ってしまえばフィクション特有のキャラクターであり、リアリティとは異なるいわゆる「非現実的可愛さ」を前面として出す要素である(古くは萌えとも言う)。そこにアニメスタッフによる「背景のリアリティ」が加えられてしまったのだ。講義室と周りの人を描いてしまったことにより、原作のようにただのおてんばなワンシーンで済まされなくなってしまった。このように、非現実的可愛さを楽しもうとしている視聴者の希望に相対してリアリティを演出する背景がぶつかってくることが、視聴者に混乱を招いていると私は考える。それは老人が大半の田舎のあぜ道をコスプレイヤーが闊歩するようなものであり、本来フィクションであるべきものをリアルの一環として浮き彫りにしてしまったも同然なのである。例えの下手さはともかくとして。

 

以前に感じたものとは

似た現象を「WORKING!!」のアニメを見ていた時にも感じたのだ。これはNEW GAME!と共通点が多く、ファミレスでのバイト、つまり仕事をテーマにした4コマ漫画のアニメ版である。特に第2期で感じたことなのだが、松本さんという自称普通キャラがアイキャッチ的にせっせと働いているシーンが多々挟まれ、映像だけみると結構リアリティがあったのだ。背景はもちろん、店内の環境音なども本物に近いつくりになっていた。WORKING!!を知っている人は分かるだろうが、この作品はラブコメギャグがメインとなっている。そのため先ほど述べた条件と合致していることが分かる。

 

おわりに

今回は、アニメの背景ってけっこう印象を左右するんだなーという考えをまとめてみた。似たような違和感を持っていた人が共感できるかはわからないけど、参考になれば幸いである。ねねっちは好きなキャラの一人だし、原作だと後々意外な成長を見せたりするキャラなのでアニメ版でも期待大である。まぁ2期が無い限りそこまでいかないでしょうけど……

(1)と書いたけど続けるかはわかりません。続いたときは別作品について何か書きたいですね。ではまた。