LIFE LOG(塵芥の終着点)

塵芥の終着点

あなたの無駄な時間をもう少し無駄にするブログ

何故か男3人でディズニーランドに行った時の愉快な話:前編

先日、知り合いから「ディズニーランド行こう」という声がかかり、とうとう俺も陰キャ脱出からのウェイからのパリピからのワンチャン脱童貞かよという思いで快諾した。自分が最後にディズニーに行ったのは『バズ・ライトイヤーアストロブラスター』がオープンした年だから11年前だそうだ。単純に昔とどう違うのかとか気になっていたし二重に楽しみだった。今回はその時のことを振り返りながら感想でも語ろうと思う。メンバーは男3人だった。

「は?」

開園前

新木場で京葉線に乗り換えた瞬間から戦いは始まっていた。制服を着た人でいっぱいだったのだ。

(一体……この中の何人が……本物……)

だってなんでもない平日だもの。若干JKと言うには見苦しい厚化粧が見受けられたんですもの。私服高校出身の自分にはそもそも制服ディズニーのしようが無いので少し羨ましくもあった。

舞浜でメンバーと合流。

 

 小粋な糞ジョークも交えつつゲート前に待機。

ここでメンバー二人について触れると

Lくん:毎日ディズニーリゾートのpHを測定しないと気が済まないレベルの変態ガチ勢。別にデスノートを巡ってキラと頭脳戦をしていたりはしない。こいつは以下呼び捨て。

Tくん:私と同じ超久々にディズニー来た勢。「断片の再構成<フラグメンツ・リバイバル>」の能力者であり、画像を爆速で加工する。歌が上手い。

こんな感じである。

早速無駄に用意が良いLによってルート構築、各アトラクションの時間配分等の説明がなされ、私とTくんは涎を垂らしながら「ほへー」とか言ってた。

 

開園後-ビッグサンダーマウンテン

 若干の雨が懸念されつつも、開園。キャストさんたちが「危ないので走らずゆっくりー!!!」と言いつつも、ダッシュする開園凸勢。それに早歩きならギリセーフ理論で対抗する僕ら。

(あれ…この光景……)

遠い日の、というか1ヶ月半くらい前に、どこかで見たような景色。1年に2回は見るような、あのイベントの名物風景――――

無事、臭くないコミケという不名誉な命名がなされました。

 

その後手際よくスプラッシュマウンテンのファストパスを取り、そのままビッグサンダーマウンテンに。このアトラクション、幼少期に前のオッサンがいきなり立ち上がって緊急停止した経験があり、若干抵抗があった。が、乗ってみたら普通に楽しめた。絶叫の類をしたことが無く、かと言って無言でも面白くないので「はぁぁあんwww」とか「ひえぇぇ~www」とか声出してみたけどどれも気持ち悪かった。この辺慣れてる人と差が出るとこ。

 

初スペースマウンテン

これはメンバーに便乗して写真を撮る自分

実はスペースマウンテンに乗ったことが無かった。単純に昔行った時は父親が乗りたくないとかそんなで乗れなかったのだ。乗った感想としては、よくわからないけど楽しい。確かに視界が悪い中結構な速度で動くため、苦手な人は苦手だと思った。が、基本的に急降下が無くカーブが多いので、タマがヒュンな要素は無い。ただし若干乗り物酔いを起こしやすいのかなと思った。

Lは待機列で流れているCG映像が大分古いとダメ出ししていた。敬虔な消費者故に許される発言を感じた。

 

スプラッシュマウンテン

3人1グループ問題をご存知だろうか。いや今名付けたんだけど。3という数字は非常に厄介で、奇数であり少人数でありアホになる数でもある。アトラクションは基本的に2人ずつで座るものが多く、当然1人余る。僕ら3人はその余りの1人を毎回くじで決めるなどしていた。そしてスプラッシュマウンテン、私が余りになった。ちなみに、スプラッシュマウンテンであらかじめ1人として並ぶと空席埋めとして優先して乗れるのでぼっちのみなさんも如何でしょうか。

で、その空席埋めが結局来なかったので、こうなった。

後に写真見て悲しくなった

 

それからいろいろとお昼のパレード

3つのマウンテンも制覇したところでそろそろ異世界への<ゲート>も開かれるのかなといったところだが、その後も結構時間的余裕ができてイッツアスモールワールドに乗った。昔は何故か謎の狂気を感じてまともに楽しめなかったが、今回は普通に楽しめた。前の人がスマホを手にして何かしていたような気がしたけど気のせいでしょう。うん。

そして昼のパレード。ハロウィン期間の特別なやつだ。パレードは開始数十分前くらいからそれなりに待機の人だかりができる。それに便乗して私たちも、着席。と、ここで前の夫婦とその赤子

 まぁ、うん。さっきのスマホでも思ったけどさ。夢の国の人民は皆現実なんだよね……

私の母はこういうマナー違反的なのを見ると割と見知らぬ人にガチギレしたりするんだけど、自分はその遺伝子は受け継いでいないようだ。なんというか、正義感云々より場の空気が悪くなるのがいたたまれないからなのかもしれない。

パレードはグーフィーにリズムを取ってと言われたのですが、これが難しい。デレステより難しかった。その辺にいた幼女の方が上手かった。内容は賑やかで楽しかった。なんで写真が無いかって?ベビーカーが邪魔で撮影できなかったの!!!!!んもーーー!!!!!

 

そして早めの昼食。Lのダイレクトマーケティング(つまりおすすめ)によりこちらを購入

ベーコンとパイナップルのピザ

 

酢豚にパイナップルもポテトサラダにリンゴやミカンも許さない硬派な私ですがこれは素直に美味しいと思いました。お値段もセットで620円と比較的良心的。

 午前中は最後にファストパスを取っておいたプーさんのハニーハントに乗った。何を隠そう、私が一番好きなディズニーキャラはプーさんである。なにせあの消える魔球すらホームランで返す実力者であり、100エーカーの森で名人の如きゴルフをプレーしてくれるのだ。嫌いな訳がない。アトラクションは昔と変わらず、なつかしさを感じた。あと途中のプーさんが浮いてるやつは若干怖い。

 

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出るときに買った飴。スローロリスではなくクマだ。

 

というわけで

書き切れなかったので後編に続きます。記憶が新しい内に更新したいところ……

 

【デレステ】BEYOND THE STARLIGHTがフルコンできなくて騒ぐだけ

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「プロデューサーさんは、私の良いところは『妥協』だ、って…。だけど、だけど……」

「『PRO』なんて、『MASTER』なんて、誰でもフルコン出来るもん…!」

「何にもない…私には何にも…。」

 

デレステのイベント曲「BEYOND THE STARLIGHT」のMASTER+がフルコンできそうでできない。あまりにもできそうでできないのでただ騒ぎたいと思う。「で」が多すぎる。

そもそもこの「BEYOND THE STARLIGHT」という新曲。発表され作曲家を確認したところ、なんと私が大ファンである石濱翔氏。全人類が見るべきアニメ「アイカツ!」及び「アイカツスターズ!」にて数々の名曲を生み出してきた方であり、デレステではTulipを手掛けたことで有名。今回の新曲も聞いた瞬間に「あぁ…最高やな……」と思わず呟いてしまった。MONACA(石濱氏が所属する作曲家集団)らしいキャッチ―なメロディで、物語の終わりと新たなる始まりが訪れるような感動を味わえる文句無しの神曲である。既に指摘が多いが、同石濱氏作曲のアイカツOP「START DASH SENSATION」と類似性があるので気になる人は聞き比べてみてはいかがだろうか。

で、今回のMASTER+の難易度は29。実は前回の「Near to You」(以下そばつゆ)をフルコンできてしまったので「今回もいけるやろwww」となめてかかっていた。ぺろぺろ。実際、そばつゆより局所難(部分的に難易度が跳ね上がること)が無く、繰り返す毎に安定してきて、ミス判定が減ってきた。

 

で も 、 0 に な ら な い 。

 

あれ……?おかしいな?なんで俺こんなにやってもフルコンできないなんだろ……?

既に10回以上、1箇所の失敗でフルコンを逃している。いつまで経ってもどこかでミスる。何故かできない。どうしてもできない。できないことをツイートして同情を求める。哀れ。

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同じ値段でステーキもできない。

どうしようもないので原因を考えた。

  • イントロ終わり(Aメロ前)の連続スライド&タップ

 ここで死ぬことがかなり多いことが分かった。1回目のスライドがどうしても認識されずにMISS。何度かリハーサルをやって気づいたことは、タイミングの問題ではなく、最後までスライドができていないことではないかということである。つまりスライドが途中で途切れているのである。打開策としては、多少は時間を掛けてでも最後まで指を伸ばす、奥まで伸ばしたことを確認してから指を離す、等であろうか……

  • 連続タップ

なんていえばいいか分からない。私はドコドコ地帯と呼んでいる。毒茸伝説の最後でもそうなのだが、どうしてもタイミングがズレる。人間という生き物はある物事が連続すると必ず「慣れ」を覚える習性があり、自分の技術を過信する傾向にある。ドコドコをミスするのはまさに連続による慣れが導く油断であると考えられる。対策としては、譜面の速度を上げてしっかりと目で追うこと、曲をしっかり聞くこと、だろうか。ちなみに速度は9でやっている。iPadAir2だと少しカクつくので定期的なメモリキャッシュの削除が必要な気がする(あんまり意味ない気もするけど)。

  • 緊張

最大の敵。前述の二箇所を突破すれば、実際怖いものはない。のだが、突破できたことが判明した瞬間、半端ない緊張が私を襲う。もしかしたら今回でフルコンいけるのではないか。またやり直すのは嫌だ。これを無駄にするわけにはいかない。といった邪念が半端ない勢いで頭になだれ込んでくる。で、簡単なとこでミスる。そばつゆでは局所難がラスト付近であったため、そこを突破した瞬間フルコンを確信した。しかし今回は序盤に苦手な箇所が集中する。その後の緊張状態が果てしなく長い。助けて中居くん。時戻してキムタク。

 

というわけで、騒ぐというか割と自己分析をしただけだった。これを書いてる時点でイベント終了まであと3日。正直実績が残るわけでもないし普通に諦めてもいいんだが、とりあえず最後まで粘ってみようと思う。

 「BEYOND THE STARLIGHT」が素晴らしい曲であることは間違いないので、みなさん早速デレステを起動してお気に入りの編成でMVを再生しよう。君の担当アイドルが走り出すよ。あと、ウサミン限定SSR復刻が楽しみですね。

リアリティとフィクションの狭間で(1)~NEW GAME! 8話のねねっちの話~

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桜ねね。NEW GAME!の登場人物であり、主人公涼風青葉の親友である。NEW GAME! 8話に登場する彼女の姿を見ていて、ある違和感を覚え、以前から考えていたある理屈と結びついた。ので、ちょっと書いてみたいと思う。始めに断っておくと、私は原作単行本の既刊は所持しており、全て読み終えている。原作では感じなかったのにアニメでは感じたことについて触れたいと思う。

 

ねねっちの行動に対する違和感 

 

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冒頭のこのシーン、といえば視聴した人はもう分かってくれたと思う。ねねっちは、大学での期末試験を全て終え、その嬉しさの余り講義室内であるにも関わらず「夏休みだー!」と大声で叫んだのである。当然、特に親しい友人に話しかけたわけでもなく独りでそのような行為をしたら、室内にいる学生の大半から注目を浴びてしまう。

ねねっちはこの行為を皮切りに、8話内で様々なわんぱくをしでかす。バイトに初日から遅刻、会社内を勝手にうろつく、冷蔵庫の中にある誰のかも知らないプリンを勝手に食べる、など割と問題行動を連発する。が、そこはフィクション。作り話。アニメだと思って見ている視聴者にとっては「元気だなぁwww」とか「かわいいwww」とかその程度の印象に留まるはずである。

ところが、この回を見た視聴者の中には「ねねっちこれアカンやろ」とか「見ていてイライラする」といった感想を持った人が一定数いた(信用ならないソース)。そして自分もまたねねっちの問題行動が気になってアニメを純粋に楽しめなかった一人なのである。

 

何故ねねっちはアカンかったのか

単行本では2巻に収録されている回であるため、ずいぶん前の話ではあるのだが、私が原作を読んだときにはこのような違和感は特に無く、むしろ前述した「元気だなぁwww」とか「かわいいwww」とか、そっちの印象を抱いた記憶がある。先程の「夏休みだー!」のシーンは原作だとこうなっている。

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両者を比較すると明らかになる点とは、「原作には背景が無い」ということである。背景とは、講義室も指すし、講義室内にいる他の学生のことも指す。

そう、4コマ漫画は、小さいコマにセリフと絵を収めるため、普通のコマ割りの漫画とは異なる技術が用いられている。そのため4コマの多くは、人物に焦点を当てることを目的とし、背景を簡略化している。そしてそのことこそが今回感じた違和感の原因であると私は考えた。

 

背景はリアリティを演出するに欠かせないもの

ある漫画家兼スタンド使いも言っていたように、リアリティは作品づくりに欠かせない。面白いと思わせることとは、すなわち共感させることであり(もちろんそうでない場合の面白さも存在するが)、人間の想像力をより豊かにするためには、その人の脳に訴えかけるような共感が必要なのだ。そして何より余りに現実味に欠いた描写というのは、萎える。そこに生きているように感じられなくなる。

NEW GAME!の作品としての魅力は、そのリアリティとそうでない部分のちょうどいい塩梅であると私は思う。登場人物が全員女性であり、主人公が高卒で入社するという比較的ぶっ飛んだ設定の中に、ゲーム制作の過酷さや人間関係の妙をリアルに描く部分があり、多面的な楽しみ方ができる作品であると考える。ところが前述したシーンではその食い違いが発生してしまったように感じたのだ。

おてんばな性格であるねねっちは、言ってしまえばフィクション特有のキャラクターであり、リアリティとは異なるいわゆる「非現実的可愛さ」を前面として出す要素である(古くは萌えとも言う)。そこにアニメスタッフによる「背景のリアリティ」が加えられてしまったのだ。講義室と周りの人を描いてしまったことにより、原作のようにただのおてんばなワンシーンで済まされなくなってしまった。このように、非現実的可愛さを楽しもうとしている視聴者の希望に相対してリアリティを演出する背景がぶつかってくることが、視聴者に混乱を招いていると私は考える。それは老人が大半の田舎のあぜ道をコスプレイヤーが闊歩するようなものであり、本来フィクションであるべきものをリアルの一環として浮き彫りにしてしまったも同然なのである。例えの下手さはともかくとして。

 

以前に感じたものとは

似た現象を「WORKING!!」のアニメを見ていた時にも感じたのだ。これはNEW GAME!と共通点が多く、ファミレスでのバイト、つまり仕事をテーマにした4コマ漫画のアニメ版である。特に第2期で感じたことなのだが、松本さんという自称普通キャラがアイキャッチ的にせっせと働いているシーンが多々挟まれ、映像だけみると結構リアリティがあったのだ。背景はもちろん、店内の環境音なども本物に近いつくりになっていた。WORKING!!を知っている人は分かるだろうが、この作品はラブコメギャグがメインとなっている。そのため先ほど述べた条件と合致していることが分かる。

 

おわりに

今回は、アニメの背景ってけっこう印象を左右するんだなーという考えをまとめてみた。似たような違和感を持っていた人が共感できるかはわからないけど、参考になれば幸いである。ねねっちは好きなキャラの一人だし、原作だと後々意外な成長を見せたりするキャラなのでアニメ版でも期待大である。まぁ2期が無い限りそこまでいかないでしょうけど……

(1)と書いたけど続けるかはわかりません。続いたときは別作品について何か書きたいですね。ではまた。

 

 

 

駅構内のトイレでビッグフットとナワバリバトルした話

今までの人生で、死を覚悟した瞬間というものはあるだろうか。

私は何度もある。レポート提出日に寝坊とか、跳び箱前転を失敗した時とか(体育の授業に器械運動はいらない)、組体操のピラミッドを失敗した時とか(体育祭に組体操はいらない)、女児向けアーケードゲームに興じている際に隣で妖怪ウォッチをやっている少年に「なんでそれやってるの?」と聞かれた時とか、いろいろある。

死を覚悟した瞬間の中にもいくつかレベルがあると私は考える。いやそんなに死を軽々しく感じるなよという話ではあるのだが、実際ある気がする。その中でも特にレベルが高い、あってはならない部類の死とは『他人に被害を及ぼすタイプの死』であると私は主張する。被害が自己完結してさえいれば、それは自分ひとりの死である。痛みに軽重はあれど、結局は自分の身体やらプライドやら女児心やらが傷つくに過ぎない。ところが、他人を巻き込むタイプはそうはいかない。人に迷惑を掛ければ、当然申し訳ない気持ちになる。たくさんの人に迷惑を掛ければ、乗算的に申し訳ない気持ちになる。

 

以上の理屈を踏まえると、特にやばい、文句なしのSSSクラスの、SSR確定演出の、人生ガチャ大爆死の瞬間とは、人体の上か下から禁忌を出すことであると考える。

 

ま、つまりゲロとか脱糞とか放尿とかです……

話題は汚いけどそんな汚い表現にはしないつもりなのでブラウザバックしないでください……

 

その日私は急行電車に乗った。次の駅に停車するまでに少なくとも10分はかかるそれである。いつも通りこんな回りくどい前置きをしたのでもう分かってくれた方も多いと思うので、とっとと本題に入りましょう。

 

 

腹痛、襲来。

 

 

(あああああああああああああああああああああああ)

 

 

濁流の如き胃腸の暴走。ここから出せと言わんばかりの老廃物(未来の排泄物)の主張。崩壊する自律神経。天国へのカウントダウン

(俺、ここで死ぬのかな……)

まさに死を覚悟した瞬間である。まだ出してないのに!この時点で死を!

(どうせ死ぬなら…)

といって死後強まる念で肛門に伸縮自在の愛を発動することができればよかったのだが、あいにく私は念能力の一つも持っていない。と、ここで、

 

「次はー○○ー○○ー(停車駅のアナウンス)」

 

(!!!!!!!!!)

耐えたッ!よくやったぞ俺ッ!降りたこともないよく知らない駅だけど取りあえず駅構内にあるトイレを利用すればッ!

ドアが開いたその刹那、私は震動を抑えつつ、且つ迅速な足取りで階段へ向かった。多分『瞬歩』とか『響転(ソニード)』とかそのへんを習得できてたと思う。

(あった!男性のピクトグラム!)

男子トイレをくどい表現で言い換えつつ私はその目当ての場所に向かっていた。入り口には人影、脳裏を過ぎる嫌な予感。

(いや……一人並んでいるくらいなら耐えられる……ここは自分を信じて突っ込むしか……)

 

その時であった。奴が現れたのは――――――

 

 

 

「ハンッ!フンッ!ハンッ!フッ!ハッ!ハッ!ハッ!フンッ!!!!

 

声として漏れるその限界を超えた呼吸。蒸発が如き汗の噴出。今にも胆汁を吐き掛けそうなその膨らんだ腹部。私の右斜め前方から、そいつは現れた。

 

フンッ!ハッ!フンッ!!

 

(あああああああああああああああああああああああ!!!) 

 勝てない。こいつの走力に俺は勝てない。俺はこいつに先を越される。その巨体。巨漢。立ち居振る舞い。全てが人知を凌駕したそれ。その姿はまるでビッグフット――

 

「フゥゥゥゥ!フッ!」

 

ビッグはすぐさま男子トイレの個室の列に並び始めた。

(これは……もしかすると……!)

恐らく私と同様の極限状態であるが故、周囲を見渡す余裕などとうに失われていたのだろう。だが、そこが私とこの図体だけの巨漢(ウルトラ失礼)との差である。

(お前には見えていないようだな……多機能トイレが!!)

多機能トイレ。体の不自由な人が優先ではあるが、やむをえない場合は使用してもよいと考えている。なにぶんこの非常事態である。利用しない手はない。幸い多機能トイレには列が無く、中の一人さえ出れば私が救済されることは自明であった。

(この勝負、もらったよ……)

キメ顔でそう心の中で呟いた瞬間、戦慄奔る――――

 

 

ハッ!ハッ!ハッ!フンッハッ!!!

「う、」

うわあああああああああああああああああああああああああビッグきたああああああああああああああああああ!!!

おいやめろこっちくんなやめろばか無駄に俊敏なのやめろまだ俺がぴったりドア付近に近づいていないから並んでいない理論通すのやめろ息荒いのやめろ服装俺と似てるのやめろやめろ……やめ……

 

(………………!!)

 

何、だ……、この、禍々しいオーラは……。こいつは、先ほどから息を荒げて威圧をしているだけのように見えた。しかしそうではない。こいつは、本気で、私以上に、""覚悟""を背負っている。こいつの腹の底が、果てしない。内に秘めたる終わりの見えない""死""のオーラに、私はあっさりと気圧されてしまった。

 

あんたはここに立つ資格が無い。それだけのことだ。

 

 確かに、私の目を見て、その巨漢は、そう訴えかけていた。

 

 

(負けだ……)

かつてない程の完全敗北であった。背負うものが違い過ぎる。腹に秘めた絶望は私を圧倒していた。雑兵たる、虫けらたる、洗面所に虚しく沈む石鹸のカスたる私は、ただ頭を垂れて這いつくばる他無かった。けど、トイレは汚いし、這いつくばるのはやめた。

ここはお前に譲ってやるよ。いいさ、俺が死ぬ代わりに誰かが助かるんだ。理想を抱いて溺死してやるさ。固有結界を張って無限の排泄<アンリミテッド・ブリブリ・ワークス>してやるさ。でも思い出してほしい。お前が今日この時を安息に生き続けていられるその事実は、私の親切心より生まれたものであることを。忘れないでほしい。尊い犠牲を。週一くらいのペースで拝みに来てほしい。一人の勇者の石碑を。

 

 

※この後何があったか、同じノリで書こうと思ったけど、どうあがいても面白くならないので適当に書きます。

私は駅から出てコンビニを探しました。数分後、唯一と思える近辺のコンビニを見つけました。サンクスでした。トイレがありませんでした。店員はレジにでも用を足してるんでしょうか。怒り狂いました。とっととファミマになれと思いました。何がすぐそこサンクスだトイレもすぐそこに置けやと思いました。結局ビッグが居た駅構内のトイレに戻りました。清掃のおばちゃんが来てました。終戦を感じました。ケツから玉音放送が流れ始めました。おばちゃんが私にアイコンタクトしました。その目線の先、秘密の隠し扉がありました。というか、和式が一つ空いてました。ありがとうおばちゃん。玉音放送が水に流れました。幸い外傷は無く無傷でした。待ち合わせの時間をだいぶオーバーしていたので急いで電車に乗り、スマホをリュックから取り出そうとしました。オレンジ色の錠剤を見つけました。ストッパって書いてありました。

「って下痢止め持ってるやないかーい」

おしまい

恥ずかしいことから逃げようとしたら更に恥ずかしかった話

公衆の面前において、気まずい雰囲気や恥ずかしい思いというものは誰しもが一度は経験するものだろう。

例えば電車内。さっきまで大声で会話していた友人が先に降りた後の電車内。さっきまで談笑に夢中でテンション爆上げだった自分が、一瞬にして静寂の中の一人に様変わりするこの空気感。何故か恥ずかしい思いにならないだろうか。

例えば人通りの多い道。何もないところで躓いた後の雰囲気。視線は一斉に自分へ向けられる。何故か恥ずかしい思いにならないだろうか。

そう、誰かがいればいいのだ。恥というものは実は共有できる仕組みになっていて、恥力530000を食らったとしても4人で行動していたら一人当たり132500に分配が可能であるのだ。等分であるかはさておいて。

しかし現実は孤独だ。530000をモロに食らった瞬間、自分はいつも思うのだ。

「ああ、この世界には自分ひとりしかいないんだな」

もう気分は終末の世界に立ち向かう一人のソルジャーである。携帯固形栄養食で飢えをしのいだ夜に焚火に映る妹の幻影なんか見ながらつぶやく感じである。

 

で、その宿命のソルジャーはどうやってその状況を乗り越えるかというと、方法は単純で、「逃避」である。防衛機制でもおなじみの逃避である。

電車の静寂が嫌ならイヤホンを付けて騒がしくしてしまえばいい。転んだ時の視線が嫌なら人目につかないトイレにでもダッシュしてしまえばいいのだ。ソルジャーってほら、泥臭さから美を見出すものだからさ。

 

そんなわけでやっと本題なのだが、突然だがみなさんは「とらのあな池袋店」に行ったことはあるだろうか。少し説明すると、池袋のとらあなは離れた位置に2店舗存在し、それぞれ男性向けと女性向けで隔離されたような配置になっている。シコ猿の僕はというと、当然男性向けの成年向け単行本コーナーに幼児が、じゃなくて用事があったのである。

ところが、このとらのあなA店(女性向けはB店である。このアルファベットを覚えておいてほしい)なかなか立地が悪い。多分だけどエレベーターでしか行けない。そしてビルディング自体が保険会社等と複合で利用している感じでスーツを着たリーマンとキモオタが同じ箱の中で上昇する奇妙な光景が楽しめる(楽しめない)。で、そのエレベーターの中には各階の案内表示が無いのだ。つまり乗る前にしっかり目的の階を覚えてボタンを幼い、じゃなくて押さないといけないのだ。まぁ、ここまで言えば大体予想はつくと思うけど、そういうことである。自分が押した階のドアが開いた瞬間気づいた――――

 

 

 

 

 

 

(押し間違えた)

 

 

 

 

眼前に広がるのは一面の闇。照明の消えた保険会社。静謐が支配する結界。

で、押し間違えたなら当然すぐに閉めて目的の場所を押し直せばいいだけなのだが、今回はその主導権が僕になかった。何故ならエレベーターボーイ一般人(以下、エレ人)がいたからである。エレ人(以下、エレ)は1階にて「何階ですか?」と聞いてくれて、僕はそれに「5階です!」と堂々と答えてしまったのだ。5階、広がる闇、見つめるエレ(以下、エ)。エの親切心を無駄にする心苦しさもあったが、何より「間違えました」というたった一言がどうしても恥ずかしくて言えなかった。今になって振り返るとなんでそんなことをしたのか皆目見当がつかないが、僕は考えてしまったらしい。

 

「あと1階は階段で上がればいいか!!!」

 

なんか降りてしまった。階段へのドア、鍵かかってた。監視カメラにバッチリ捉えられた。

「何してんだお前……」

蔑むようなトーンで警備員が話しかけてきた。さぁ、何してんでしょうね?

そんなわけで警備員さんと一緒にとらのあながある6階へ向かった。ぶっちゃけ、その数分間は21年間生きてきた中でベスト3に入る恥ずかしさだった。警備員さんにエロ漫画物色を誘ったらどうなるんだろう……とか考えるくらいの余裕はあった。

結論何が言いたいかというと、逃避はあくまで逃避でしかないということである。逃避した先が安住の地である保証なんてどこにもない。ダメージは倍々になって襲い掛かってくるかもしれないし、恥力106万かもしれない。

だから受け入れるのだ。為替ピカチュウで有り金を溶かしてあの世GOするくらいなら、ライフで受けろって、そういう話なのだ。

「痛みを受け入れて、それを乗り越えてこそ、真の自分だよ」

ソルジャー僕からの一言で結びとさせていただこう。

 

 

 

※後日談

 

「久々に来たけどもう間違えないぞ!とらあなは6階と7階だな!よし7階!ぽちっと!」

 

半年ぶりくらいに再戦。7を押せば終わる一瞬の自分戦争であった。

チーン。ドアが開く。

「チーンってな。ちー、え、ち、ちん……」

 

目の前に広がっていたのは、男性同士が熱く身を寄せ合った数々のイラスト。あられもない姿になった六つ子。刀の擬人化の刀の部分の鍔迫り合い。男性客、自分1人。

 

「あああああああああああああああああああ」

 

とらのあな池袋B店、そこにはそう書かれていた。ソルジャーは世界を捨てた。

ザーネワンダー、牙を剥く

f:id:rubbishyoutake:20160320143846j:plainザーネワンダーホイップクリーム。輸入食品を扱うコストコ等で購入できるスプレー型のホイップクリームである。

その用途は多岐にわたり、コーヒーやココアにワンプッシュ、ケーキやチョコに甘さをプラス、漢の直飲み、その他自由自在である。

 

今回私は白玉ぜんざいにこいつを使おうと企てた。想像するだけで垂涎ものだ。抑えきれない糖分摂取衝動。高揚する気分。ウキウキのダンス。

カパッと蓋を開けたその時、事件は起きた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あああああああああああああああああああくsっせええええええええええええええええええ;;えあえおいわえあああああああああああああああ」くぁwせdrftgyふじこlp

 

 

 

 

 

 

ノズルの先端は黄ばんで渇き切った何か。放たれる、ゴルゴンゾーラをも凌駕する腐臭悪臭。迅速に室内に充満する忌避すべきその臭。戦慄、戦慄、狼狽、錯乱、魑魅魍魎跳梁跋扈、捻転、身悶、吐気、嘔気、にじり寄る死、死死死死死死死死死死

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで換気しました

 

 

さて、何故ザーネワンダーは悪臭を放つ程に腐乱したのか。それを考えねばならない。

ラベル裏に記載されている注意書きを見ると、

・40℃以上の高温を避けてください

とのこと。ここ数日気温の変化が激しいといえど、40℃どころか30℃にも届かないごくごく普通の春の日である。位置的にも直射日光とは程遠い調味料入れに並んでいる。

悩む私に先刻まで熟睡していた飼い猫が物欲しそうに寄ってきた。お前はいけるのか、この臭い……

と、猫が棚の上に乗った。こらこらと降ろそうとしたその時、気づいてしまったのだ。この事件の真相に――――――

 

 

 

目の前にオーブントースターあるじゃん!!!!!(ここまで引っ張るほどのオチじゃないじゃん!!!!!)

おしまい

ピカチュウケーブルが僕たちに教えてくれたこと

f:id:rubbishyoutake:20160316182146j:plainリビングの棚の奥深く、そこには埃被った懐かしのアイテムがあった。

ピカチュウケーブルという。ゲームボーイカラー専用の通信ケーブルがピカチュウ仕様になった実に可愛らしいアイテムである。本当は両端に1匹ずつ、計2匹のピカチュウが居るはずなのだが、片方が消失している。

私は当時自分専用のゲームボーイカラーというものを所持しておらず、姉がプレイしているのを横から覗き込んだり、姉が64でカービィをやっている間に少しやらせてもらったりと、そんな感じの家庭内ヒエラルキー最下層の末っ子ゲーマーであった。長女は金版、次女は銀版を所有していた。

さて、次女(以下、長女は登場しないため姉とする)はよく近所の友人(以下Mちゃん)と通信交換や対戦をしていた。ケーブルはMちゃんが所持していたため、それを借りていた。しかし毎回借りてばかりでは面目が無いというものである。そんな中ある日家族で、当時日本橋に出来て間もないポケモンセンタートウキョーへ行った時のことである、そいつと出会ったのは――――

可愛らしいデザインに一瞬で惹かれ、即購入に至った。翌週には自慢も含めて姉はMちゃんとピカチュウケーブルを使って通信をすることになった。Mちゃんもピカチュウが画面横に存在することに嬉し気だった。和やかな雰囲気で始まったポケモンバトル。姉が自慢のメガニウムを繰り出そうとしたその瞬間、事件は起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆけっ!オクタン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おめでとう!メガニウム は オクタン に しんかした!

 

 

 

 

 

 

 

 

えっ?いや、姉の手持ちにもMちゃんの手持ちにもオクタンはいませんけど?

そう、バグった。こっちが衝撃的で記憶が定かでないが、確かMちゃんも手持ちと異なるポケモンが出たと思う。幼少期に遭遇するバグや不具合の類は、怖い。windows95の警告音も、怖い。マリオワールドの鍵ゴールも、怖い。ピクミン2のアメボウズも、怖い。

さて、驚きと恐怖で姉は半泣きになりながら、とりあえず技を選んだ(子供のころは下手に電源を消すことに危険を感じていたため)。確かみずでっぽうとかその辺を選んだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オクタンのはかいこうせん!」

 

 

 

 

 

 

おい!!!命令無視すんな!!!!!技隠し持つな!!!!!!

ちなみに金銀ではLv70で覚えるらしい、はかいこうせん

そんな訳で出るポケモンも繰り出す技もしっちゃかめっちゃかのカオス通信対戦、フリーズだろうか、通信待機中画面から動かなくなり、結局電源を切ることで幕を閉じた。Mちゃんが所有する普通のケーブルで改めて対戦をしたら何事もなく進んだ。

この事件に懲りた姉はピカチュウケーブルを棚の奥に封印した。ひょっとすると、失われた片方のピカチュウは封印解除のキーなのかもしれない……

そして後日、姉はトイザらスから帰ってきてあるものを私に見せつけた

 

 

 

 

 

「見て見て!これトゲピーケーブルっていうんだよ!かわいいでしょ!!!」

悲劇の第二幕、始まる――――

おわり